印刷入稿でつまずかないために。Canvaとイラレで“安心して出せる”チラシの作り方
入稿はなぜ、こんなにこわいのか?
Canvaで作ったチラシが「思った以上におしゃれ!」と手応えがあっても、
いざ印刷に出すと——
- 色がくすんだ
- 余白が切れた
- グラデーションが潰れた
そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
私も実際に入稿したら余白がずれていて、やけに縁ギリギリだったり、印刷時は色味がくすむことを先方に伝えておらずガッカリさせてしまったことがありました。その経験がトラウマ級とまではいかないものの・・・
デザインはある程度できる。
でも 入稿という“最後の壁” が怖い!という苦手意識が生まれました。
私は印刷会社は、個人的に使いやすいと思っている東京カラー印刷を使うのですが、印刷用のイラレフォーマットはどこも一緒なのに、最近流行りのPDF入稿はわりと独自のルールがあってわかりづらい…そんな感覚があります。
「どうして画面で見た通りにならないんだろう」
「印刷会社によって設定が違うから、毎回不安」
「イラレも少しは使えるけど、Ai入稿って難しそうで踏み出せない」
多くの人が、この “最後のハードル=入稿” で立ち止まってしまわなように、この記事では、入稿がこわい…!という気持ちを卒業して、Canvaでデザインの自由を楽しみながら、Illustratorを併用して”印刷で失敗しない”ための「画像を埋め込む形式の入稿手順」をデザイン編と入稿編に分けてお伝えします。
1. 土台を固める(サイズ設定とCanva有料版の強み)
A4の実寸と塗り足し
チラシの基本サイズは、A4が多いので 210×297mm。その他のサイズを希望する場合はご自身で調べてみてください。また文字や大事な要素は、画像の淵から3〜5mm程度内側にしておくと良いでしょう。
Canva Pro(有料版)のすすめ
Canvaは無料版でも、クオリティの高いデザインや作品を作成することもできるのですが、有料版ですとできることの幅も広がるので、ぜひ有料版を比較して自分の納得いく上で登録してもらうと良いかなと思います。
メリットとしては
- サイズ変更が後から自由にできる
- 高解像度書き出し→印刷向けデータ対応
- RGBだけでなくCMYKでも書き出せる → 色ズレ防止
- ブランドキットで色・フォント統一管理
- 作品上で使用できるかわいい素材も多い
素材利用の落とし穴
Canva素材の中には商用利用などの制限がある素材も紛れていますので、利用前に ライセンス表示を確認 し、迷ったら規約ページをチェックしましょう。
「これ本当に商用で使えるの?」と思ったら、必ず別素材を検討しておくのがおすすめです。
2. 設計図を描く(ヒアリングとレイアウト設計)
おしゃれに見せるデザインも、土台は 情報整理だと思っています。
- 目的は何か(集客・告知などなど)
- 誰に向けてなのか?(ターゲット層)
- 何を一番見せたいか?(主訴)
これをクライアントにヒアリングし、ラフ案を紙に描くだけで方向性が固まります。
そのうえで、「何を・どこに・どのように」配置するかの設計図(ワイヤーフレーム) を用意しましょう。
個人的には、Pinterestや事例集から参考画像を集め、「なぜこれが良いのか」を言語化すること。オシャレの正体は、余白の取り方、色の数を絞るバランス、フォントの統一感などで、言語化することで、先方からの信頼も一段と高まります。
3. チェック工程(校正・余白・実寸確認)
デザインがまとまったら、一度PDFに書き出します。
色の違いは有名ですがRGBは、モニターなどで使われ、明るい色を出すために赤・緑・青の光を混ぜ合わせることで色を表現しています。一方、CMYKは、印刷物などで使われ、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色を混ぜることで色を表現し、混ぜるほど黒く濁るので、全体的に黒くなるが特徴です。それを加味して色味については先方に説明しておくと安心です。
しかし、ここのチェック項目では、ここで見るのは「色」だけではありません。
- 校正:誤字脱字、行間のズレ
- 余白:切れてはいけない要素が仕上がり線内に収まっているか
- 実寸:A4サイズに印刷して読みやすい文字サイズか
さらに、グラデーションや写真の階調が、滑らかに出ているかも確認します。プリンターの性能によっては単色で出てしまう場合があるので、そういう場合は、CanvaでPDFデータを書き出す際に「フラット化」を選択すると表示されることがあります。ただしフラット化の処理は確認のためだけに使うのがおすすめです。というのも、Canvaからの出力時のPDFのフラット化は出力時に絵柄やレイアウトが変わる可能性があり、印刷会社によっては推奨していないことも。フラット化にチェックを入れ、出力したPDFをご入稿は可能ですが、データの自己判断となるので注意しましょう!
4. イラレで仕上げる(PNG書き出しと埋め込み)
最後にCanvaから最終デザインを出力します。それが終わったら、Illustratorでの作業を行うのですが、イラレの処理は次回の記事でのお届けします。
Canvaからデータを出力するときのおすすめ設定
- PNG形式
- 解像度300〜350dpi
- カラーモード:CMYKに変換
この流れを踏めば、「印刷会社にデータを送る瞬間の不安」がなくなります。
5. まとめ 〜入稿はもう、こわくない〜
これまでCanvaでおしゃれに作ったデザインを、Illustratorで最後に仕上げ、失敗なくチラシを作るデザイン編をお届けしました。
設定や確認する項目はそれなりに多いのですが、やっていくうちに感覚が掴めてきますので、ぜひどんどん制作してもらえればと思います♪
次回は 「入稿編」。印刷会社ごとに、トラブルを未然に防ぐ具体的なテクニックを解説します。
最後までお読みいただきありがとうございました!